<社説>政治とカネ 証人喚問視野に徹底解明を


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 次から次へ「政治とカネ」をめぐる疑惑が噴出する。「カネで政治がゆがめられている」との疑念は拭えない。

 不適切な政治資金受領が問題視され、西川公也農相が辞任した同じ週に、今度は下村博文文科相、望月義夫環境相、上川陽子法相に相次いで疑惑が発覚した。
 国会での答弁は事実関係との食い違いが目立つ。関係者の証人喚問も視野に入れた徹底した解明を求めたい。
 下村氏は「博友会」をめぐる疑惑が取り沙汰されている。塾経営者らでつくる、全国各地にある団体だが、東京の団体以外は政治資金収支報告書の提出が必要な政治団体としての届け出がない。
 各地の博友会は下村氏の講演会を開くなどしているが、「政治資金を集める団体ではない」と強弁している。国会で下村氏は「講演料や車代は受け取っていない」と述べたが、直後に団体が宿泊料やタクシー代を負担していたことが発覚した。
 講演料をもらっていたなら、報告していない以上、「裏金」となる。脱税の疑いすらある。もらっていないのなら、これらの団体が自身の政治団体だと認めるに等しい。すると今度は政治資金規正法違反の疑いが生じる。どちらに転んでも違法の可能性があるのだ。
 そもそも塾が文部科学行政と無縁だとは誰も思うまい。塾の経営者からカネを受け取るか、または自身の政治団体に加入させておいて、公平な文科行政をしているとみなせるだろうか。
 もっと深刻な問題も浮上している。交際の適切性だ。暴力団との関係が取り沙汰される企業に巨額の融資をした人物が、下村氏に寄付していたのだ。証人喚問も視野に徹底解明すべきだとするゆえんだ。
 望月環境相と上川法相がそれぞれ代表を務める政党支部は環境省の補助金交付が決まっていた企業から寄付を受け取った。補助金を受けた企業から献金を受け取るなら、税金が大臣の膝元に還流することになる。
 安倍晋三首相は補助金受領を知らなければ違法性はない旨を答弁している。しかし、前述の還流までが許されるとはいえまい。
 小渕優子前経産相らの疑惑も未解明なままだ。検察当局は政権に遠慮し過ぎではないか。このまま放置するのなら、国民の検察を見る目も険しくなるだろう。