共同通信社が全国の首長を対象に実施したアンケートで、人口減少により自治体が「消滅しかねない」との危機感は77%に達したことが分かった。一方、県内では、自治体消滅の危機感を「強く抱いている」が8%(3市町村)、「ある程度」の47%(18市町村)を合わせても55%にとどまり、全国を22ポイントも下回った。
地方が疲弊していくことへの懸念が切実な全国に対し、県内は危機意識が乏しい結果となったことは極めて残念だ。人口減対策は全国同様に沖縄においても急務であり、まずは危機感を共有することから対応策が始まるといっても過言ではない。沖縄が周回遅れとならないよう、県内首長には現状と課題への認識を一つにすることが求められる。
確かに沖縄県は全国でも数少ない人口増加県だ。日本の人口は2009年をピークに減少局面に入ったが、沖縄は25年前後がピークと予想される。しかし、ピークが早まるとの試算もあり、数年以内にも人口減に転じる可能性がある。
しかも、人口が過密な本島中南部に対し、北部や離島地域では人口減少に歯止めがかからない状態が長らく続いており、高齢化や過疎に直面する事態は極めて深刻だ。県は昨年4月から人口増加計画をスタートしているが、地域の活力源となる人口の県内格差解消に向けた取り組みも待ったなしだ。
全国アンケートで、人口減に備え、見直しや拡充を要望する国の制度を二つまで挙げてもらったところ、「地方財政」が56%と最多で、人口減対策に幅広く使える「新型交付金」創設が49%と続いた。県内では「新型交付金」58%(22市町村)「地方財政」55%(21市町村)の順に多く、新型交付金が上回る興味深い結果となった。
県内には「自由度の高い」一括交付金が既に創設されているはずだが、実態は「中央省庁のひも付き補助金」とほとんど変わらないことの証左だ。一括交付金を真に使い勝手の良い制度に再設計することが先決だ。
沖縄を含め、地方が国に財源拡充を求めるのは、現状がいかに中央集権と東京一極集中が強固かを表している。地方が求めるのは、地方の責任と裁量で取り組める環境であり、すなわち大胆な税源移譲を含む地方分権の確立にほかならない。安倍政権は、地方創生に懸ける本気度が厳しく問われていることを肝に銘じるべきだ。