<社説>米軍機部品落下 沖縄の空飛ぶ資格なし


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 米軍普天間基地所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが約164グラムのアルミ製部品を落下させていた。同機が消火活動をした米軍キャンプ・ハンセンと帰還先の普天間飛行場との間で部品を落下させた可能性があり、民間地で落下したかもしれない。

 極めて危険な事故が起きていたにもかかわらず、米軍が日本政府に連絡をしたのは発生から4日後の16日だ。しかも米海兵隊は原因を明らかにしないまま飛行停止の措置も取らず、沖縄の上空でオスプレイの飛行を続けている。落下事故を軽く考えていると言わざるを得ない。
 さらに米軍がオスプレイの部品落下を連絡した16日にも嘉手納飛行場を飛び立った電子偵察機RC135Vが重さ1キロ近くの機体パネルを落下させていた。今回も連絡は翌日だ。人命を軽視しているとしか思えない。
 日米両政府は1997年、米軍機からの落下物事故について、基地内外を問わず、日本側へ迅速に通報することで合意している。しかし米軍はこの2件の事故に限らず、繰り返し合意をほごにしている。昨年4月のHH60ヘリの部品落下の時は発生から6日後だった。6月のオスプレイの部品落下は2日後、10月のF15戦闘機の時は4日後だった。米軍内部で迅速な通報という合意が周知されていないか、守る必要がないとの認識がまん延しているかのいずれかだろう。
 昨年3月からことし3月までの1年間で米軍機の部品落下事故は16件も発生している。ことし1月には普天間基地所属のAH1攻撃ヘリがミサイル発射装置など200キロの部品を落下させている。沖縄の空は米軍機の部品が頻繁に降ってくる異常な状態に置かれている。県民は安心して外を歩けない。
 県基地対策課はオスプレイの部品落下を受け、米軍に早期通報、安全管理の徹底、再発防止を申し入れている。翁長雄志知事はオスプレイの配備撤回を公約に掲げて当選した。再発防止だけでは生ぬるくないか。繰り返される落下事故に県など行政側も慣れっこになってはいないか。少なくとも原因究明までの飛行中止を求めるべきだ。
 米軍はこれまでも部品落下事故を起こした後、詳細な事故原因や再発防止策を示したことは皆無といってよい。安全が担保されていない米軍機はこれ以上、沖縄の空を飛ぶ資格はない。