<社説>許可外サンゴ破壊 国に沖縄の海汚す権限ない

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局が海域に設置したコンクリートブロックによるサンゴの破壊94群体のうち、9割超の89群体が県の許可した岩礁破砕の区域外だった。防衛局の調査で判明した。サンゴの破壊が大規模だっただけでなく、大部分が許可区域外だったことは大問題だ。

 サンゴ破壊について防衛局は「サンゴ礁にまで発達していないサンゴ類の損傷で、沖縄県の規制対象とならない」と主張している。現場のサンゴを「サンゴ礁にまで発達していない」と断定し、県に許可を求める岩礁破砕には該当しないとの見解だ。しかし県は「岩礁の中にはサンゴも含まれる。地形としての岩礁という扱いがある」としており、岩礁破砕許可が必要との認識だ。
 さらに防衛局は破壊したサンゴの94%が大きさ10~20センチだったとした上で、破壊行為を「問題ない」としている。つまりサンゴは小さいので押しつぶしても構わないと言いたいようだ。海の生態系を破壊することに、あまりにも無頓着だ。
 琉球新報が潜水して確認した許可区域外のブロック1カ所では約20センチのハマサンゴの仲間が押しつぶされていた。ハマサンゴの仲間の成長速度は1年に1~2センチだ。20センチになるまでには10~20年かかる計算だ。防衛局は長い年月をかけて形成されるサンゴの価値をどう考えているのか。
 防衛局は岩礁破砕許可について自分たちに都合良く解釈することを繰り返している。今回のようにサンゴ破壊を「岩礁破砕に該当しない」と判断したり、10~45トンの巨大なコンクリートブロックを許可が必要のないアンカーだと言い張ったりしている。県は「『船舶の投錨(とうびょう)』について手続き不要と説明したが、今回のブロックはこれに当たらない」と反論している。明らかに分があるのは県の主張だ。
 政府も行政不服審査法を法の趣旨から逸脱した形で行使している。同法の目的が「国民の権利利益の救済を図る」(第1条)ことにもかかわらず、辺野古移設を強行している国が同法を使って県の停止指示を阻止している。菅義偉官房長官が知事承認を引き合いに繰り返す「法治国家」の姿とはあまりに懸け離れている。
 許可区域外で多数のサンゴ破壊が判明した以上、防衛局は移設作業を即座に中止すべきだ。大浦湾の美しい海を汚す権限などない。



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