<社説>交流サイト ネット犯罪から子を守れ


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 子どもたちが携帯電話やスマートフォンをどのように使用しているか、大人は注視しなければならない。使い方を誤れば重大な犯罪に巻き込まれる可能性がある。

 昨年1年間、出会い系以外の交流サイトを使って性犯罪などの被害に遭った18歳未満の子どもは全国で1421人で、統計を取り始めた2008年以降、最多だったことが警察庁の統計で分かった。沖縄県は23人で前年より9人増えている。
 携帯電話やスマホを使用する小中高生の間で、LINE(ライン)など交流サイトの利用が広がっている。友人同士で気軽に情報を交換できるサイトは子どもたちにとって魅力的であろう。
 しかし、交流サイトの利用が性被害の入り口になる実態を見逃してはならない。児童買春など性犯罪の温床になる恐れがある。交流サイトを運営する業者は犯罪を未然に防ぐ手だてを急ぐべきだ。
 有害サイトを閲覧できないようにするフィルタリング機能の活用を呼び掛けてほしい。年齢層が離れた利用者同士の交流を制限するゾーニングの設定も効果が期待できる。運営業者は犯罪抑止のため知恵を絞ってほしい。
 もちろん運営業者だけの取り組みだけでは有害サイトと子どもの接触を完全に遮断することは困難であろう。教育行政や学校現場、家庭でも対策を講じるべきだ。異性との出会いを目的とした交流サイトに近づかないようなルール策定と意識付けが求められる。
 浦添市教育委員会と市青少年健全育成市民会議は「携帯電話ルール10カ条」を制定し、携帯電話の利用を午後10時までとするよう市内の小中学校に呼び掛けている。
 ルールの中には(1)フィルタリング機能を利用しよう(2)知らない相手からのメールは必ず保護者に見せる(3)人の悪口は絶対に書かない―などの項目がある。これを守るだけでも犯罪抑止になるはずだ。
 交流サイトで不安を感じた場合、保護者や教師に通報するよう児童生徒への指導を徹底すべきだ。携帯電話やスマホに関する特設授業を積極的に設けてもよい。使用を強制的に禁じるのでなく、どのような使用が危険なのかを伝えるべきだ。
 ネット社会が現実社会と直結していることを忘れてはならない。現実社会と同様、子どもが犯罪に巻き込まれないよう保護し、指導するのは大人の責任である。