<社説>ネパール大地震 各国連携し救助の手を


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 4月25日、ネパールの首都カトマンズをマグニチュード7・9の大地震が襲った。5月1日昼の時点で近隣国を含めた犠牲者数は6300人を超える。冥福を祈りたい。

 ネパール内務省によるとさらに約3千人が行方不明という。深刻な被害に胸が痛む。
 だが瞬間的な被害だけが問題なのではない。現地では水や食料、薬品類が圧倒的に不足している。食料支援が必要なのは140万人以上に上る。
 日本政府も10億円の緊急無償資金協力を発表、救助チームも派遣した。国際社会も次々に支援に乗り出している。だが空港の混雑など交通事情の悪さから物資は滞っている。交通網が寸断された山間部は人命救助の手すら届いていない。支援は一刻を争う。
 特に必要なのは山村での救援に使うヘリコプターだ。もともとアジア最貧国の一つで山岳国だけに、交通網や通信網などのインフラは整っていない。ネパール政府は国際社会にヘリの派遣や貸与を訴えている。既にインドは約20機を派遣しているが、その数倍、数十倍は必要だろう。対応を急ぎたい。
 同時に、各国の支援の「入り口」を広げる作業が急を要する。空港の利用をネパールと各国の間で調整し、効率良く使うようにしたり、陸路での輸送網も確保したりと、国際社会の協力が必要だ。
 衛生事情も心配だ。今も多数の遺体が野ざらしになっている上、避難所や病院でトイレすらない所もある。下水も大部分が未整備だから6月からの雨期には感染症の拡大が懸念される。医師も病院も圧倒的に不足しており、医療・環境面の対策が求められる。
 併せて長期的な視点での支援策も構築したい。震災で800万人以上の生活に影響があるほか、国の経済を支える観光が地震によって深刻な打撃を受けかねないからだ。経済面の支援も打ち出したい。
 ネパールはもともと傾斜地に住む人が多く、地滑り続発の恐れもある。インフラ整備の需要が高まるのは必至だ。政府系の国際金融機関で長期的な資金協力を無償で行ってもよい。政府だけでなく民間でも持続的支援に取り組みたい。
 縁遠いように見えるが、実は沖縄とネパールの関わりは浅くない。青年海外協力隊として同国の山村で果樹栽培を指導した後、自費で学校を造った人もいる。支援を続けてその縁も大切にしたい。