<社説>5年以内運用停止 詭弁やめて辺野古断念を

 米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」は沖縄県と日本政府が交わした基地負担軽減の大切な約束事だ。2013年12月に仲井真弘多前知事が求め、安倍晋三首相が「努力を十二分に行う」と実現に向けた決意を誓っている。知事の埋め立て承認の事実上の条件だった。しかし最近になって、政府がその約束を履行する意思がまったくなく、ほごにしていることが明らかになってきた。

 これまで政府と県は「運用停止」についての定義や期限について協議を重ねてきた。その結果、停止を実現する期限は「19年2月」で、定義は「飛行機が飛ばない状態」であると明確に合意していた。
 中谷元・防衛相もことしの3月26日に衆院安全保障委員会の場で運用停止状態について「つまり飛行機が飛ばないということだ」と断言した。ところが中谷氏は1カ月後の4月24日、同じ委員会の場で全く正反対のことを言い出した。「飛行機が飛ばないこと」について「幻想を与えるようなことは言うべきでない。撤回する」と述べた。「舌の根も乾かぬうちに」とはこういうことを指すのだろう。
 安倍首相は4月17日の翁長雄志知事との会談で、運用停止について「生きていることは生きている」と答えている。しかし28日の日米首脳会談の共同声明には一行も記していない。前日の外務・防衛閣僚による安全保障協議委員会の共同文書でもまったく触れられていない。会議の中で岸田文雄外相が県側が求めていると伝えただけだ。まるでひとごとだ。
 日米首脳会談の後、翁長知事は運用停止が声明に盛り込まれなかったことについて「埋め立て承認のハードルを越えるための空手形ではなかったか」と批判した。誰が見てもそう思うだろう。政府が子どもだましのような嘘(うそ)をつく日本は、果たして民主主義国家といえるだろうか。
 菅義偉官房長官は30日の会見で新たな定義を持ち出した。空中給油、緊急時着陸、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの運用の3機能の停止だという。しかし航空機が飛行場周辺で飛行しない状態になるのかについては明言を避けた。
 詭弁(きべん)を聞くのは、もうたくさんだ。約束を守れないことを素直に認め、実行が条件だった埋め立て承認を取り消して辺野古を断念すべきだ。