<社説>きょう5・17県民大会 沖縄は屈しない 「辺野古新基地ノー」を世界へ


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 「沖縄は決して屈しない」という強固なメッセージを日米両政府に対し発信しよう。

 「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」が17日午後1時から、沖縄セルラースタジアム那覇で開かれる。稲嶺進名護市長、金秀グループの呉屋守将会長ら6人の共同代表をはじめ、翁長雄志知事や元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏、辺野古基金共同代表でジャーナリストの鳥越俊太郎氏らがあいさつし、県民に連帯を呼び掛けるほか、辺野古移設阻止を掲げる大会決議を採択する。
 沖縄がさらされ続けている不条理に歯止めをかける闘いであり、県民のエネルギーを大会に最大結集し「沖縄の正義」を示したい。

不条理の放置許さない

 辺野古への米軍普天間飛行場代替新基地建設は1996年のSACO合意以来、今日まで19年、県議会・市町村議会における決議、あらゆる世論調査においても一貫して県民は反対を表明してきた。
 戦後70年たっても米軍専用施設の74%が国土のわずか0・6%しかない沖縄に集中している。新基地建設など、これ以上の負担を拒む最低限の訴えをも、政府は一顧だにせず放置し続けている。
 沖縄戦では本土の捨て石にされ、米軍支配下では人権を踏みにじられた。復帰後も基地の重圧は消えず、県土の均衡ある発展の阻害要因になっている。辺野古新基地建設は、国が日米安保体制を維持、強化する手段として沖縄を利用し続け、今後も不条理を押し付けることにほかならない。
 昨年の名護市長選、名護市議選、県知事選、衆院選沖縄選挙区では、辺野古新基地建設反対の圧倒的民意が示されたはずだ。「政治は国民のもの」「民主主義国家」である以上、民意を尊重するのは当然のことだ。だが、この国の為政者は無視し続けている。
 「新基地建設」「辺野古」はこの国の民主主義の在り方を問う象徴であり、問われているのは、その成熟度である。
 「唯一の選択肢」と繰り返し、辺野古という「固定観念」から一歩も出ようとしない政府の態度は、翁長知事が指摘したように、「政治の堕落」である。日米両政府は硬直した思考に取りつかれていると言わざるを得ない。「辺野古」の理由として提示される海兵隊の抑止力が虚構であることは防衛相経験者や専門家が明らかにしている。
 沖縄の訴えに耳をふさぎ続ける一方、安倍政権は「戦争をしない国」として世界の信頼を得てきた日本を今、「戦争ができる国」にとどまらず「戦争をする国」へと変貌させようとしている。

「戦争立法」化にもノー

 70年前の沖縄戦で大きな犠牲を払った県民の子孫として、悲惨な戦争を二度と繰り返させないというのが、私たちの責務だ。今回の県民大会は、わが国の70年間の平和を完全に無視し、積極的平和主義の名の下の「戦争立法」化を進める安倍政権に「ノー」を突き付ける機会でもある。
 4月の菅義偉官房長官と翁長知事の会談以降、各社の世論調査では沖縄側の主張を支持する結果が表れている。
 これを裏付けるように、5月13日に設立総会を開いた「辺野古基金」には、16日現在で2億円余が集まった。県外からの寄付も多い。国内世論の高まりに翁長知事も「本土の方が関心を持つようになった」と意を強くしている。
 翁長知事は20日、海外特派員協会、日本記者クラブの記者会見に臨む。沖縄の置かれた現状を通して、日本の民主主義を国内外に問う絶好の機会となるだろう。
 今月末から訪米する翁長知事を県民一丸となって支えるためにもぜひ大会を成功させたい。
 大会カラーは辺野古の海や大浦湾をイメージした「青」だ。大会場を人の波で埋め尽くし、県内のさまざまな場所でも、大会に参加できない人や国内外の多くの賛同者も一緒になって抗議の「青」を示し、沖縄の民意「辺野古新基地ノー」を全世界へ届けていこう。