<社説>オスプレイ墜落 危険機種は沖縄から去れ


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 いくら日米両政府が安全だと喧伝(けんでん)しても、数年に一度は必ず墜落事故を起こす代物だ。垂直離着陸輸送機オスプレイをめぐる統計学的な事実が証明された。

 それを危険機種と呼ばず、何と呼べばいいのか。民間旅客機なら、購入する航空会社はあるまい。
 米軍普天間飛行場に24機も配備されているMV22オスプレイが米ハワイ州オアフ島で墜落し、乗員1人が死亡し、重傷者が出た。
 県内の広い地域で頻繁にオスプレイが頭上を飛び交うだけに今回の墜落は県民の恐怖心をかき立てた。県内への配備撤回を求めてきた翁長雄志知事は「憤りを一番に感じる」とし、原因が究明されるまで県内での飛行停止を要求した。
 県民の命を守る責務がある知事による当然かつ最低限の要求である。だが、事故原因が機体にあるのか、人為的なものなのか判明しない段階で、在沖海兵隊は飛行停止要求を拒否した。配備と同様に事故後の民意無視も甚だしい。
 海兵隊は事故の最大の被害規模を示す「クラスA」の損害額を「100万ドル以上」から「200万ドル以上」に変えて格下に分類し、重大事故の発生率を低く見せるために露骨な操作を行っている。
 オスプレイの事故頻度を分析すれば、数年内に沖縄周辺で墜落してもおかしくない。米軍は沖縄の空からオスプレイを撤収すべきだ。われわれは恐怖におののく生活を強いられることを拒否する。
 オスプレイは開発段階から死傷事故が相次ぎ、30人以上が犠牲になっている。2012年6月にはフロリダ州で空軍仕様のCV22が墜落し、13年8月にはネバダ州でMV22が着陸失敗後に火を出した。
 今回の現場映像を見ると、機体から真っ赤な炎と大量の黒煙が噴き出している。上空で旋回していた3機のうちの1機が墜落した。
 米軍は事故を「ハードランディング(激しい衝撃を伴う着陸)」と称している。地面にたたき付けられ、機体が跡形もなく焼け焦げた事故をも「着陸」と言い張り、矮小(わいしょう)化する。危険性を隠したがる軍隊の体質は、基地周辺で暮らす住民の不信感を増幅させるだけだろう。
 日本政府は「オスプレイの安全性を確認した」として、米軍横田基地(東京都)への配備を発表したばかりだ。どんな言い訳を繰り出して「安全性」を確認、証明するのか。注目しておきたい。