<社説>米兵事件頻発 たがの緩みは明らかだ


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 規律を重んじるはずの軍隊のたがの緩みは明らかだ。基地外で県民に被害が及ぶ重大な事件、事故の発生につながりかねない危うい予兆と心得るべきだろう。

 このところ、米兵が容疑者となる事件が頻発し、8日間で7人の逮捕者を出す事態となっている。
 飲酒運転による道路交通法違反容疑の逮捕者は5月30日以降、6人に上っている。勤務時間外の過ごし方に緊張感を欠いている表れと言えよう。
 さらに県警は6日、在沖海兵隊キャンプ・ハンセン所属の3等軍曹を強盗致傷の疑いで逮捕した。
 先月24日の明け方に那覇市の国際通り沿いで男性を殴り、現金を奪ったとされる。被害者は頬骨を折る全治2カ月の大けがを負った。
 在沖米4軍全体で重大事故につながりかねない飲酒運転と凶悪事件が発生した重大性を共有し、綱紀粛正に取り組むべきだ。
 昨年12月、在日米軍は沖縄の4軍の軍人・軍属の飲酒に関する制限を大幅に緩和した。勤務時間外行動指針(リバティー制度)を変更し、飲酒場所や飲酒量の制限を緩めた。
 午後6時から10時までバーを除いた飲食店でビール2本程度に制限されていたが、緩和措置によって午前0時から5時までを除き、飲酒場所や量の制限がなくなった。
 在日米軍は制限緩和の理由に「事件・事故の減少」を挙げたが、制限緩和後に飲酒運転の逮捕者が相次ぎ、われわれは緩和措置を取り消すべきだと主張した。
 その懸念が的中する形で、その後も飲酒運転による逮捕者は後を絶たず、ことしに入っての逮捕事案は16件に上る。
 陸海空、海兵隊の4軍の間で、他の軍の兵士による犯罪については、関知しないという感覚がありはしないか。沖縄社会の米軍に対する厳しい目線は軍隊ごとに振り分けて注がれるものではない。
 米軍は「良き隣人」政策を掲げ、兵士らに沖縄社会に歓迎される紳士たれと号令を発している。問題行動を起こすのは一握りの兵士かもしれないが、被害に遭う県民の側からすれば米軍全体の綱紀を問わざるを得ない。
 狭い基地の島に2万数千人の規模の米兵を抱え続ける限り、統計学的に米兵の事件をゼロにすることは困難だ。日米両政府は、在沖米軍の綱紀粛正とともに基地と兵員の規模を大幅に削減する責務があることを忘れてはならない。