<社説>男女共同参画 従来と一線を画す対策を


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 人口減が進む日本で今後、労働力不足が大きな社会問題になるのは必至だ。だから移民受け入れが現実的に検討されるなどしている。そんな中、「未開拓」と言える潜在的な労働市場に焦点が当たるのは必然的である。すなわち女性だ。

 政府が6月中に閣議決定する「男女共同参画白書」で、女性の就業率を調査している。2014年平均で63・6%となり、10年で6・2ポイント上昇した。今後この流れは加速こそすれ、減速することはあるまい。
 だとすれば「共同参画」にふさわしい環境整備が求められる。労働市場の流動性が低い日本では、いったん離職すると正規雇用に就くのはかなり難しい。就業が続くことで職位や賃金が高まる仕組みも根強い。就業を継続できるような環境が何より求められる。
 男性のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)改善がとりわけ重要だ。だが昨年の男女共同参画白書によると、男性の長時間労働や家事との関わりに劇的な変化は見られない。
 それは必ずしも男性の意識だけの問題ではない。現状として仕事を優先している男性の割合は、「仕事を優先させたい」と希望する男性の2倍以上に達する。一方、現状として仕事と家庭生活をともに優先している男性は、「ともに優先したい」と考える男性の3分の2でしかない。個人の意識だけでなく企業や組織の労働慣行を見直さない限り、現実と理想の乖離(かいり)は埋められないのだ。従来とは一線を画した、格段に強力な働き掛けが行政には求められよう。
 それは、言うまでもなく政治が促す必要がある。だがその政治そのものが日本は後進的だ。
 政府は「政策の決定過程における『指導的地位』に占める女性の割合」を20年までに30%へ高める目標を掲げている。だがことしの白書によると、14年末の女性議員の割合は都道府県議会の全国平均で8・9%。目標に遠く及ばない。しかも改善の歩みは遅々としているのが現状だ。
 それなら強制力を持つ仕組みを導入すべきであろう。一定の議席を女性に割り当てる「クオータ」制を検討すべきだ。
 世界経済フォーラムが13年に発表したジェンダー・ギャップ(社会進出における男女格差)指数で日本は136カ国中105位。先進国として恥ずかしい結果だ。早急かつ抜本的な対策が求められる。