<社説>健康長寿復活へ 「ちゃーがんじゅー」合言葉に


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 25年後までに平均寿命を全国一に復活させるという目標に向け、息の長い活動が始まっている。

 「健康長寿おきなわ復活県民会議」の2015年度第1回会議で、初のロードマップ(行程表)が承認された。死亡率10%減を目指す20年までに、経済・労働団体や学校、市町村、マスコミなど各界が進める取り組みが示された。
 特定健診の受診率を基準値の45・9%から70%へ引き上げるなどの目標値のほか、労働者の健康に配慮した経営手法の実践企業を、経済団体が現在の7事業所から500事業所に増やすことなど、各団体の取り組みが挙げられている。
 日本一復活には、官民一体となった健康づくり運動を展開することが不可欠だ。特に死亡率が高いといわれる勤労者世代(20歳から64歳)の対策が急がれる。
 2000年、男性の平均寿命が全国1位から26位に転落して以降、県を先頭に多くの団体が、県民に健康づくりを呼び掛けた。
 だが、13年に県内事業所の定期健康診断で「異常」が見つかった労働者の割合「有所見率」が、3年連続で全国ワーストとなるなど、県民の「健康悪化」を押しとどめるには至っていない。
 死亡率の高さは、食の欧米化や車社会の影響で、勤労者世代の肥満率が上昇、それに伴う生活習慣病の増加、自殺などが主な原因といわれる。
 この世代は家庭や職場の大黒柱だ。このままの状態では、沖縄全体の活力の源を失いかねない。
 労働者それぞれの意識を高めることはもちろんだが、企業、地域、県民挙げて健康長寿復活に挑まなければならない。
 個人として、定期的に健康診断やがん検診を受診することが必要だ。無症状のまま進行することの多い生活習慣病やがんの早期発見、早期治療に結び付けたい。
 さらに(1)日常的な運動で肥満を解消(2)バランスの取れた食生活(3)適正な飲酒の習慣-など一人一人が実践していくことが重要だ。
 企業は、社員の健康保持が企業の持続的成長、利益につながることを理解し、健康診断を受けやすい環境整備などに取り組むべきだ。
 「いちまでぃんちゃーがんじゅー」(いつまでも元気で長生き)を合言葉に、県や各団体が知恵を絞って環境整備を進め、目標に向け地道な活動を続けていこう。