<社説>戦後70年フォーラム 戦争への道断つ方策共有

 沖縄は非戦の誓いと日本の民主主義の成熟度を映し出す鏡である。あらためてそんな思いを深めた。

 那覇市で催された戦後70年記念フォーラム「沖縄から平和を考える」は熱気が渦巻いた。この国を新たな戦争に導きかねない安倍政権の危い動きを断つ方策が共有された意義は大きい。
 県民12万2千人余が犠牲になった沖縄戦、名護市辺野古への新基地建設、安倍政権が今国会で成立を図る安全保障法制は、国民の生命を危険にさらす地続きの問題であることが照らし出された。
 安保政策に精通する元自民党副総裁の山崎拓氏、辛口の政治評論で知られる森田実氏、凄惨(せいさん)な沖縄戦を体験した唯一の衆院議員である仲里利信氏が登壇した。
 太平洋戦争を経験した戦中派の3氏の発言には、政治の暴走に歯止めをかける立憲主義が崩れることへの危機感と、それに歯止めをかける使命感が宿っていた。
 違憲論が勢いを増す安保法制をめぐる3氏の論を沖縄語で表せば「がってぃんならん(絶対に許さない)」になるだろう。
 山崎氏は「(戦後70年間)青年が一人も血を流さなかった日本は珍しい平和国家だ。『一国平和主義』でいいではないか」と述べ、安保法制の廃案を強く求めた。
 森田氏は「過去の自民党のリーダーは誇りを保ち、米国とつばぜり合いした。安倍首相はべったりだ」と痛烈に批判した。対米従属と強権性を深める安倍政権にあらがう突破口に、世界の共感が広がる「辺野古新基地阻止」を挙げた。
 「軍拡競争で真っ先にやられるのは沖縄だ。子や孫に哀れな思いをさせない」。父や弟を沖縄戦で失った経験から、党派を超えて非戦を貫くことを訴える仲里氏の発言は説得力に満ちていた。
 米軍普天間飛行場の移設を伴う辺野古新基地をめぐり、山崎氏が「期限付き返還を提唱して再交渉を」と提案すると、即座に怒声が飛んだ。
 世論調査で80%以上の県民が反対するだけに当然の反応だ。長い経緯を振り返った時、山崎発言には意義も見いだせる。一貫して辺野古やむなしと主張してきた同氏でさえ、沖縄の民意を無視した現行計画のごり押しは「無理」と烙印(らくいん)を押したのである。
 「政治の変化は世論が実現する」(森田氏)。県民はさらに自信を深めていいはずだ。