<社説>辺野古環境監視委 議事録作成は当然の義務だ


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 辺野古の埋め立て承認に当たり、前県政が国に設置を求めた環境監視等委員会で、事務局の沖縄防衛局が議事録を作成していないことが分かった。審議内容の重要性を考えれば、委員の発言を匿名にし、詳細な検証ができない「議事要旨」の公開で事足りる話ではない。

 事業実施ありきの委員会は、環境保護団体から「機能不全」との指摘がある。批判に応え、透明性を確保するためにも議事録作成は事務局の当然の義務であることを指摘したい。
 そもそも沖縄防衛局は情報公開に対する理解が不足しているのではないか。第1回会合で「議事要旨での公表が適当」と決定したから議事録をつくらないという。しかし2012年4月1日に総理大臣決定した「行政文書の管理に関するガイドライン」は行政文書を「国民共有の知的資源」と位置付け「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする必要がある」と定める。
 さらに1999年4月27日に閣議決定した「審議会等の整理合理化に関する基本計画」は「会議又は議事録を速やかに公開することを原則」としている。
 もちろん議事要旨での公開や一部非公開などの例外もあるが、それは当事者や第三者の権利を害する恐れがあるなど「特段の理由」が認められる場合だ。この「基本計画」では「発言者が公務員であるか否かを問わず」氏名を公開することも原則としている。
 審議会と委員会の違いはあっても、「国民のために情報を共有する」という理念は同じはずだ。公開された環境監視委の議事要旨を読むと、そうした原則が説明されたのかも分からない。事務局が公開の在り方として(1)要旨公表(2)議事録公表(3)一般傍聴を認めての開催-と消極的な手法から順に提示したことが分かるにすぎない。
 沖縄防衛局は環境監視委の意見を考慮せずに調査を進め、サンゴの破壊を拡大した経緯もある。副委員長を務める東清二琉大名誉教授が「環境保全ができない」と一時、辞任の意向を示したのも当然といえる。
 東氏の懸念はもっともだ。委員会にとどまり、異論を唱えるにしても、一部の委員は辺野古の海を破壊する前提で「保全策」を助言している。そうした一部委員の議論が科学的に妥当なのか。第三者の検証を得るためにも議事録の作成・公開は最低限の必要条件だ。