<社説>宮古陸自配備 議会審議だけでいいのか

 下地敏彦宮古島市長は、防衛省が検討を進める宮古島への陸上自衛隊配備について「必要である」との考えを明らかにした。

 下地市長はこれまで、陸自配備について「宮古の置かれた状況を考えると理解できる」と述べるにとどめていたが、今回の表明は事実上、配備を容認した形だ。一方で「受け入れたわけではない」とも述べている。
 非常に歯切れが悪い。市長の職責に基づく説明責任を果たしていると言えるのか。
 島の将来を左右する重大な局面だ。配備を「必要」と明言し、市政が事実上の配備推進へとかじを切ったならば、市民に自らの言葉でその理由と必要性を丁寧に説明しなければならないはずだ。
 宮古島へは、陸自警備部隊、ミサイル部隊、高射特科群を含めた合計約700~800人規模の部隊を配備する計画が明らかになっている。同市の高野漁港周辺を着上陸訓練場として整備することも検討しているという。配備される部隊の規模や性質も含め、これまでの駐留部隊とは大きく変わる。
 市長は今回の表明の狙いを「議会での論議を活性化させたい」「市長のスタンスを決めていれば、議員もいろんな質問ができ、議論を深められる」と語っている。
 市議会審議だけで配備の是非を決めれば、地域世論を二分する重要な問題で、住民は直接の意思を示す機会を失うことにならないか。
 ましてや、今回の自衛隊配備問題が表面化して以降、市長選や市議選は行われていない。議会審議だけによる判断では、十分に民意を反映したものだとは言い難い。
 陸自施設が整備されれば当然、共同使用で米軍も入ってくるだろう。米軍と自衛隊がより一体化し、有事を想定した訓練が、沖縄全体で増加するのは必至だ。基地の負担増につながるのは明らかだ。
 これらの動きが中国などを刺激し、尖閣諸島周辺などでの活動が激化することも考えられる。軍事衝突の火種をつくり、いたずらに緊張を高めかねない。
 沖縄戦も含め、後方支援が目的であろうと基地があれば攻撃対象になることは歴史が証明している。陸自配備により宮古島が「標的」となるリスクは確実に増す。
 配備は本当に必要なのか。宮古島はもとより、沖縄全体の将来像を含め、市民を巻き込んだ慎重な議論が求められる。