<社説>国連でNGO声明 新基地建設の不条理 世界に

 国連との特別協議資格を持つ国際人権非政府組織の反差別国際運動(IMADR)が国連人権理事会で「沖縄県民の人権が辺野古新基地建設計画によって脅威にさらされていることを懸念する」と訴え「沖縄の自己決定権を尊重するよう」求める声明を発表した。普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設の問題が国連の場へと持ち込まれたことは意義深い。

 声明を出したIMADRは世界中のあらゆる差別の撤廃を目指して活動しており、辺野古新基地建設阻止を目的に活動する「沖縄建白書を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」が団体会員となっている。同会議はIMADRに翁長雄志知事の国連での演説実現の支援を求めている。9月にもスイスで開かれる国連人権理事会での知事の登壇を目指している。ぜひとも実現してほしい。
 国連では昨年8月、人種差別撤廃委員会でも辺野古の新基地建設について議論が交わされ、委員から「地元の人たちと協議して同意を得ることがとても大切だ」との意見が出された。国際社会から見れば、地元の同意を得ることはごく当たり前の手続きだ。それが踏みにじられている現状は極めて異常であると言わざるを得ない。
 同委員会は2010年に日本政府に対する見解として「沖縄における不均衡な米軍基地の集中が住民の経済的、社会的、文化的権利の享受を妨げている」と指摘し、その権利の尊重のために日本政府が適切な措置を講じるべきだとの勧告もしている。政府が勧告を無視する形で新基地建設を強行している。国連無視の姿勢は明らかだ。
 ことし5月に国連人権理事会が採択した普遍的定期審査の報告書ではフィンランドなど少なくとも6カ国が米軍基地の存在によって沖縄の人々の自己決定権や土地権、環境権、女性の人権を侵害しているとして、米国に改善を勧告した。
 国連の国際人権規約の第1条にはこう書かれている。「全ての人民は自決の権利を有する」。日本も1979年に条約を批准している。沖縄の自己決定権を尊重するならば、辺野古移設を断念するしかない。それこそが国家として条約履行の義務を果たすことになるはずだ。
 今回の声明を出発点に、沖縄の民意を無視して強行されている新基地建設の不条理を国際社会に広く訴える契機にしたい。