<社説>夏休み 家族の絆を深める機会に


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 県内ほとんどの小中高校が、きょうから夏休みに入った。子どもたちには約40日間のこの機会を、ぜひ有意義に活用してもらいたい。何より安全を第一にしながら、新しいことにも挑戦し、たくさんの思い出をつくってほしい。

 自由な時間を何に使おうか、いろいろと考えている人も多いだろう。宿題をはじめ、苦手科目の克服など集中的に勉強するチャンスでもある。自由研究のテーマは決めただろうか。普段疑問に思っていたことを徹底的に調べてみると、きっと何か発見があるに違いない。
 海や山など自然と触れ合ったり、友達や家族らと思い切り遊んだりするのにも絶好の機会だ。テレビや携帯ゲーム機と向き合う時間が多い子も、できるだけ外に出掛けてみてはどうだろう。
 趣味を深めるのもいい。スポーツや芸術、その他の部活動などで自分の能力を大きく伸ばすことができるのも夏休みの利点だ。
 一方では一年で最も暑い時期を迎える。クーラーがつけっ放しの屋内と外の気温差も大きく、体調管理も難しくなる。夜更かしや朝寝坊など生活のリズムも乱れがちだ。健康のためにも規則正しい生活の維持を心掛けたい。
 それには大人たちの協力も必要だ。毎朝ラジオ体操に通ったり、決まった時間に読書をしてみたり、自分なりの「時間割」を決めてみるのも一つの方法だ。
 夏休みは海水浴などに親しむ機会が増える分、水の事故が多発する時期でもある。子どもたちだけで海や川に行くのは大変危険だ。安全確保には大人たちが十分に注意しないといけない。
 友達同士での外出が多くなる半面、誘惑が増える季節でもある。深夜徘徊(はいかい)を繰り返すうち、非行に走るケースが増えるのも夏休みだ。
 最近は県内でも子どもたちがインターネットを利用した犯罪に巻き込まれる事件が多発している。携帯やスマートフォンなどの出会い系サイトから、性犯罪の被害に遭う事例も後を絶たない。子どもたちを犯罪から守り、健やかな成長を促すよう社会全体で目を光らせたい。
 夏休みは家族で多くの時間を共有し、忘れられない思い出をつくることができる時間でもある。わが子と向き合い、成長を実感できることも多いだろう。親子で大切な時間を過ごし、絆を深めるよい機会となるよう期待したい。