<社説>オキカ拡大 利便性高いシステム構築を


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 沖縄限定のIC乗車券「OKICA(オキカ)」の利便性を高める取り組みが始まる。

 県は離島フェリーやタクシーにオキカ導入を検討する。離島住民がフェリー運賃割引のため乗船時に毎回記入している申込書の手続きをオキカ1枚でできるシステムの導入も検討する。
 離島住民や県民にとって、オキカ1枚でスムーズに移動できることから、早期導入を求めたい。
 フェリーやタクシーだけでなく、観光施設やコンビニなどでの利用、ポイント還元率を高めるなど一層の利便性向上にも取り組んでほしい。県民だけではなく、対象を国内外の観光客に広げてオキカ利用を促す工夫も必要だ。
 オキカは2014年10月からゆいレール、15年4月から本島バス4社で利用できるようになった。8月10日現在、約8万9千枚が発行されている。離島ではバスも含めて利用できる公共交通機関がなかった。フェリーに拡大することで、これまでオキカの使用機会が少なかった離島での購入者の掘り起こしにつながる。
 一方、観光立県を目指す沖縄にとって、国内外観光客にもオキカを大いに利用してもらう工夫が必要だろう。14年度の入域観光客数は、前年度比9・0%増の716万9900人で、2年連続で過去最高を更新した。
 このうち海外客は57・2%増の98万6千人で過去最高を記録した。外国人がオキカを利用すれば、使い慣れない日本円で切符を買ったり運賃を払ったりする必要がなくなる。日本語が話せず十分な意思疎通が図れなくても気軽に乗車できる。
 外国人客がオキカを購入しやすくするため、インターネット販売を検討してもいいのではないか。IC乗車券をチャージしやすくする方法としてクレジットカードによる後払い方式も考えられる。
 さらに県は、数万人規模の国際会議や見本市が開催できる大型MICE(マイス)施設を20年までに建設する。完成すると海外から多くのビジネス客が来沖する。商談後に公共交通機関を使って県内観光を楽しむことも想定される。ここでもオキカを利用してもらうチャンスが生まれる。
 オキカの利便性を高めることで、県内の公共交通機関の乗客増加につなげ、車に依存する社会からの脱却にも結び付けたい。