<社説>シールズ琉球集会 安保法制阻む新たな軸に


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 台風接近に伴う横殴りの強い雨をものともしない、若者たちの力強い不戦の誓いに共感の輪が広がった。

 安全保障法制や名護市辺野古への新基地建設に反対する学生らの団体「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」が北谷町で開いた「戦争法案に反対する緊急アピール」には県内各地から約500人(主催者発表)が結集した。
 ラップに乗せた「平和をつくれ」「憲法守れ」「辺野古を守れ」などのコールが響き、県内でも若い世代に反対の民意が広がっていることを印象づけた。
 安保法制成立に強引に突き進む安倍政権の危うさを突き、民主主義の担い手としての意識を高めた若者の台頭は基地の島・OKINAWAの不条理を改める力がある。
 ツイッターやフェイスブックなどを通して絆を深める。既存の運動にとらわれない柔軟な発想は頼もしい。この集会が起点となって、さらに幅広い若者の結集軸となり、二度とこの島を戦火が包むことがないよう訴え続けてもらいたい。
 「沖縄戦のことをおじい、おばあから聞き、命の尊さを学んだ。安保法制反対について旧盆で集まる親類と話し合おう」「住民を巻き込んだ唯一の地上戦があったからこそ、戦争への道を開く法案は絶対に許せない」「政治や戦争について話せる雰囲気が大切だ」
 マイクを握った学生の弁は、沖縄の歴史と文化を踏まえてみずみずしく、説得力があった。力強いアピールと仲間に語り掛けるようなソフトな語り口を織り交ぜ、参加者を引き付けた。
 最初は集会に加わることをためらい、距離を取っていたグループが徐々に輪に近づき、シュプレヒコールを上げていた。参加しやすい雰囲気がそうさせたのだろう。
 集会の幕開けは松本青年会(沖縄市)の力強いエイサーだった。沖縄のアイデンティティーと背中合わせの文化の力を民意のうねりにつなげる意思を感じさせた。「シールズ琉球」と名付けた意図がそこにあろう。
 この日は「シールズ」の全国若者一斉行動があり、沖縄以外でも北海道、大阪など全国60カ所超で集会やデモがあった。
 立憲主義と平和が崩れるという危機感を持ち、主権者として立ち向かう若者の声を安倍政権は正面から受け止めるべきだ。安保法制を成立させてはならない。