<社説>若者県系人大会 交流と連携の議論深めよう


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 若者らの絆は深まったことだろう。来年の世界のウチナーンチュ大会に向け、交流と連携の在り方について議論を深めたい。

 世界各地から県系の若者が集う第4回世界若者ウチナーンチュ大会がフィリピンのマニラで10~15日に開催された。沖縄からの参加者をはじめ韓国や米国、ブラジル、ボリビアなどから計約50人が参加した。
 大会テーマは「生まりジマぬ心 ウチナーぬ架け橋へ」。沖縄と世界の県系人らの「ウチナーネットワーク」をめぐり、10年後となる2025年に向けた取り組みについて意見を交換した。
 県系の若者らによるこの大会は、2011年にあった第5回世界のウチナーンチュ大会の中で開かれた若者国際会議での議論を契機に、実現したものだ。
 大会は12年7月のブラジルを皮切りに米国、ドイツ、ことしのフィリピンと毎年開かれている。若者らが始めた意欲的な試みが回を重ねていることを高く評価したい。
 今回は「観光を通した地域貢献」「沖縄と世界をつなぐ人材」「次世代の育成」「自立した経済と政策」のテーマごとに討議した。25年までの県系人ネットワーク構築に関しては「沖縄の文化や歴史の継承・強化のために、新しい教育のシステムが必要だ」といった意見が上がったという。
 10年後の沖縄は成長するアジアや世界の各国とどう結び付き、どのような発展を遂げているのか。沖縄と世界の若者たちの関係はどう進化し、沖縄の社会にどのような影響を与えているのか。
 世界の県系の若者らが次代の交流のありようや担い手の育成を含めて幅広く意見交換を重ねていることは非常に意義深い。こうした活動の蓄積は沖縄経済の発展や人材育成、ひいては基地問題など沖縄が抱えるさまざまな課題の解決にも示唆を与えるものとなろう。
 今回は来年10月27~30日に那覇市などで開かれる第6回世界のウチナーンチュ大会のプレイベントでもあった。沖縄のアイデンティティーや文化、しまくとぅば(琉球語)の継承など、来年に向けてさまざまな分野で議論の深まりを期待したい。
 前回ウチナーンチュ大会では、県内と海外の若者を交換留学させるための基金構想などの提案もあった。若者らの交流や次世代リーダーの育成を後押しするための議論も併せて進めたい。