<社説>待機児童増加 保育士支援も進めるべきだ

 ことし4月1日時点での待機児童が2万3167人となり、5年ぶりに増加に転じた。

 背景には4月から始まった「子ども・子育て支援制度」により、これまで認められなかった「求職中」の親も子どもを預けることができるようになったことがある。
 仕事を探すためには子どもの預け場所を探す必要があり、潜在的な需要が数字に反映されたといえる。同時に親のニーズに保育制度が追い付いていない実情も浮き彫りになった。
 特に待機児童の85・9%を占める0~2歳児への対応が急がれる。受け皿となる保育所の増設が必要だ。ただ少子化が進む現在、将来的な負担を考えると、入所する子どもがなくなり、遊休化しそうな施設を造るのは避けたい。
 新制度で認可が認められた小規模保育(6~19人)や5人以下の家庭的保育、事業所内保育など多様な形態での整備が求められる。
 一方で県内の待機児童は那覇市が539人で全国3番目の多さであり、那覇市を含めワースト100に12市町村が入っている。
 母子世帯の割合が全国一高い沖縄では保育所需要も多い。
 こうした事態に対応しているのが那覇市だ。待機児童解消を目指し、公立幼稚園を「認定こども園」に移行する計画を進めている。2016年度に4園を移行し、19年度には市内36幼稚園を全て認定こども園にする計画だ。3~5歳児の受け入れ体制を整える。こうした保育の「量」と同時に「質」も担保してもらいたい。
 なぜなら保育士不足への対策が手付かずだからだ。
 保育士の全国平均給与(月額)は約21万円で全職種の約32万円と開きがある。県内で保育士の多数を占める非正規職員などはさらに低い。求人サイトなどによると、県内は平均して月額十数万円、時給も千円未満にとどまる。
 待遇の悪さが離職にもつながっている。一度退職した有資格者の復職も妨げている。いくら施設整備を進めても、保育士がいなくては子育て支援は掛け声だけに終わる。
 仕事や育児の二者択一でなく、どちらも充実させたいと願う人は増えている。県内では非正規雇用の多さや県民所得の低さなどを背景に母親が働かざるを得ない事情もある。国や自治体の支援は施設面にとどまらず、保育士の待遇にもしっかりと目を向けてほしい。



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