<社説>こども医療費助成 通院・入院さらに拡充を


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 県が「こども医療費助成制度」の通院助成対象を1日診療分から小学校就学前まで拡大したことに合わせ、10市町村が助成対象年齢を引き上げた。

 既に31市町村は県と同様、もしくはそれ以上に助成対象を拡大しており、少なくとも小学校就学前までの子どもの医療費無料化が県内全市町村で実現したことになる。
 その効果は大きい。保護者負担が軽減され、低所得などから子どもの診療を控えることの解消につながる。安心して子育てができる社会に一歩近づいたといえよう。
 小学校就学前や中学卒業、高校卒業まで通院助成対象を既に拡大していた31市町村は、3歳までだった県の助成対象が拡大されたことで財政負担がその分軽くなる。それを子育て支援の充実に活用してほしい。
 助成制度が始まった1994年度は通院・入院とも対象はゼロ歳児だった。それからすれば、通院助成の対象拡大は前進である。だが十分とはいえない。入院は2012年度に助成対象を中学卒業まで拡大した。通院の助成対象も入院同様に広げてもらいたい。
 県の試算によると、通院助成を中学卒業まで拡大した場合、県の支出額は13年度より10億3700万円増加し、20億800万円になる。助成対象は19万9千人増え、26万7千人となる。
 支出は当然増えるが、多くの子どもたちが恩恵を受けるのである。ぜひ検討してほしい。
 14市町村は既に中学卒業までの通院助成を実施している。住む市町村によって不利益が生じることがあってはならない。県内どこでも同様の子育て支援が受けられる沖縄でありたい。
 県町村会は中学卒業まで助成対象を拡大するよう県に要望している。県の助成が拡大されれば、さらに多くの町村が中学卒業まで助成する可能性があるということだ。
 県や市町村の予算は限られている。だが子育て支援は沖縄にとって大きな課題である。子どもたちの健やかな成長のため、県は市町村と協力し助成制度のさらなる拡充に最優先に取り組んでほしい。
 金武町、国頭村、東村、渡名喜村、多良間村の5町村は通院・入院とも高校卒業までが助成対象である。市町村で子ども人口は異なる。厳しい面もあるが、将来的にはそのレベルを目指したい。