<南風>カミングアウト


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 カミングアウトとは自らの性自認や性的指向を自身の意思で他者に伝えること。私が初めてカミングアウトをしたのは専門学生の頃で、相手はよく遊ぶ友達の中の一人、特に仲が良い友人だった。当時の私には同性のパートナーがいた。

 カミングアウトをしなくても友人関係は築いていける。それでもカミングアウトをした理由は、話を合わせるために好きでもない異性のことを話したり、彼女を彼氏と言ったり、友人に対してずっとうそをついているような罪悪感があったりし、ストレスを抱えるよりもカミングアウトをする方がより良い関係が築けると思ったからだ。

 しかし、その半面、嫌われるかもしれないという不安はあった。最初、友達は驚いていたが、その後はすんなり受け入れてくれた。気持ちが楽になる。

 カミングアウトはとても勇気がいる行為。相手を信頼しているからこそできるものだ。しかしリスクを伴うものであるので、私は無理にする必要もないと思っている。受け入れてもらえないこともあるし、アウティングをされるかもしれないからだ。アウティングとは人の性自認や性的指向を本人の了承を得ずに他の人に暴露すること。本人が公にしていない情報を、職場や学校などのコミュニティーで伝えることがアウティングに当たる。

 周りの人に自分のセクシュアリティーをカミングアウトするか、それともしないかは当事者の生き方、考え方や姿勢はさまざまだ。ただ、どちらともに共通することは幸せに生きるための選択をしているということ。もし、あなたが家族や友人にカミングアウトをされることがあっても、深刻に捉える必要はない。

 あなたのことをとても信頼していること、そして、幸せに生きるための選択をしたのだと受け止めてもらえれば十分である。

(畑井モト子、琉球わんにゃんゆいまーる代表理事)