<南風>那覇マチグヮー


社会
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 私はご縁いただき那覇マチグヮーで生活や仕事を営んでいる。那覇マチグヮーとは公設市場周辺の商店街のこと。戦後この周辺に露店の市場が生まれたのが始まりだそうだ。昔ながらの商店街の雰囲気を色濃く残している。マチグヮーを歩くと、お店の方から「元気か? ご飯食べてるか?」「新聞見たよ、頑張ってるね」など声を掛けていただくことも多くある。マチグヮーは物を売る場所だけではなく、人と人とのつながりがある場所だ。

 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、緊急事態宣言に伴う自粛要請もあり、那覇マチグヮーから人の姿がなくなった。信じられない光景だった。休業する店舗も増え、シャッター商店街になっていく。マチグヮーは危機的状況に陥っていたが、大型の商業施設には買い物客がそこそこいた。新型コロナウイルスがきっかけで、マチグヮーに訪れる人は観光客が中心になり、地元客が離れているということが表面化したのだ。

 マチグヮーにはさまざまな専門店があり、魅力的な店主がいることを知ってほしい。何とか活気を取り戻したい。公設市場近くの和食器屋「津覇商店」3代目店主の津覇さん、近所に住み商店街に関わる金城さん、パラソル通りの雑貨屋「tope」店主の与儀さんと一緒にマチグヮーのお店の商品を集めたオンラインショップ「マチグヮーストア」を立ち上げた。伝統菓子からかつお節やしょうゆ、行事に使う風車など那覇マチグヮーならではの商品を取り扱い、マチグヮーの魅力を発信している。

 しかし、オンラインショップでは伝えられないこともある。それはマチグヮーの人の温かさだ。那覇に来る際はぜひマチグヮーに足を運んでほしい。お店の人の温かさに触れ、会話をしながら、買い物を楽しんでもらいたい。

(畑井モト子、琉球わんにゃんゆいまーる代表理事)