<南風>山羊料理はたまらない


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ひーじゃー(山羊(やぎ))じょーぐー(好物)の一人です。自宅に山羊汁のレトルトパックを常備しています。器にヨモギをたっぷり敷き詰め、その上から熱々の汁を注ぐ。湯気とともに漂う山羊の香りを楽しみながら、汁をすすり、肉を食らう。至福の時間です。

 専門店はもちろん、最近は山羊料理を出すスナックにも行きます。私はもしかすると、料理以上に店主やそのお客さんが好きなのかもしれません。山羊汁並みに個性の強い店主。常連さんの豪快な武勇伝。そして何よりの山羊の香りが染み付いたレトロな店が醸し出す空気感。それこそが料理の美味(おい)しさを引き出す最高の薬味だと思えてなりません。それこそが山羊料理の真骨頂だと。
 ただ、誤解が原因で山羊が敬遠されているのが残念です。まず「山羊を食べると血圧が上がる」という誤解。昨年1月、琉球大学の砂川勝徳教授らの研究チームが血圧上昇の原因は料理に使う塩分であって肉ではない、という研究結果を発表しました。塩分を減らし、薬味のヨモギと一緒に食べると血圧の上昇が抑えられるというのです。世のひーじゃーじょーぐーにはノーベル賞ものです。
 「山羊って高カロリーでしょ」という話も耳にします。しかし、県内のあるメーカーのレトルトパックは一人前(約500グラム)で270キロカロリー。また「冷たい水を飲むと、山羊の脂が胃の中で固まり、おなかがいたくなる」という話も信ぴょう性が低いとか。確かに山羊肉の脂は固まりやすいそうですが、その脂は人間の体温で温められるので冷たい水を飲んだ程度では固まらないそうです。
 今日は金曜日。このコラムを片手に今夜の締めは山羊だなと思った読者の皆さまへ。「何事も中庸が肝心」、ほどほどが一番。食べ過ぎには注意しましょう。もちろん自戒を込めて。
(大城勝太、エフエム沖縄アナウンサー)