<南風>あるがままの舞台発表


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 今年も沖縄市で福祉祭りが開催された。サポートハウスohanaに集う子供たちも久しぶりに参加した。今回は舞台発表とパネル展示販売との二つに参加させていただいた。

 舞台発表を担当した子供たちは重度の障害を持つ児童が多い。事業所外での活動は楽しみを重視する分、観察とケアが必要だ。バスを貸し切り、軽トラに積んだ楽器と車いす。さらに8人乗り車両もカバンやリュックでいっぱい。到着シーンは、まるで「芸能人?」だ。次々降ろされる荷物、座位の子供たちを横にするためタオルやクッション付きの2畳分のスペースの確保。「何事か」という表情の通行人に手を振る子や、お姫様抱っこの子に、また通行人が振り向く。
 つかの間の休憩時間で身体のリラックスや水分補給、排泄(はいせつ)などのケアを済ませ、車いすで移動。しかし日差しが強い沖縄では、30分以上、車いすに乗り続けることは厳しい。それで予定よりやや早めに会場入りをした。そのため主催者側のスタッフに気を遣わせてしまったが、舞台を見に来た人たちの協力もあり、子供たちの体温の上昇を防ぎながら出番待ちをすることができた。
 いよいよ出番が近づき、程よい緊張感が皆を一つにした。そして司会者に事業所の名が呼ばれ、いざ舞台へ…。子供たちが始まりの言葉を伝え、ツリーチャイムと波の音が静かに流れた。鉄琴の音が響き、ピアノがメロディーを奏でた。
 「一本の指から響く音」をテーマに、楽器とキッチン器具のコラボで「てぃんさぐの花」「若者たち」を披露した。体の動きに合わせて鍋のぶつかる音が「がんがら、がん」とリズムになり、絶対音感だけを頼りにした子がピアノ伴奏で曲を添えた。子供たちは、歌も歌った。思いっきり声を発し、あるがままの「自分の言葉」で歌った。
(名幸啓子、障害児サポートハウスohana代表理事)