<南風>イングランド ラグビー紀行(2)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ラグビーと出合って34年。ずっと思い焦がれていた場所があった。それは、ロンドンから北へ電車で1時間、静かな佇(たたず)まいの街「ラグビー」にあるラグビー校。「ラグビー誕生の地」として有名なこの地に「ついに」足を踏み入れ、W杯期間限定の見学ツアーにも参加できた。目の前にある石造りの校舎と緑に覆われた風景は、ノスタルジックな雰囲気を漂わせていた。

 エリス少年が「ルールを無視して走った」とされる天然芝のグラウンドは、息をのむ美しさで、その横にある煉瓦(れんが)の壁には、W杯のオープニングセレモニーでも再現された「ラグビー誕生のエピソード」が記されていた。資料館には、手書きの「世界初の競技規則」もあり、「全てはここから始まったんだなぁ」という思いで感慨深かった。
 また、聖地「トゥイッケナムスタジアム」のスタジアムツアーにも参加する機会を得た。ピッチサイドからスタートし、チェンジングルーム(更衣室)、プレーヤーズトンネル(選手がピッチに出る際に通る通路)など、通常は立ち入れない場所への案内が続き、ツアー参加者の驚きの声とカメラのシャッター音が止まることはなかった。最後は貴賓席からの眺めを堪能して、大満足のツアーは終わった。その後、スタジアムに併設されているラグビーミュージアムへ。大切に継承されてきた数々の歴史的な逸品を眺めていると、「われわれにとって、ラグビーは単なるスポーツではない」と誰かが語りかけてくるような気がした。
 ラグビーに浸りきった10日間の旅は、「プライスレス」な経験で満たされ、これまで以上に、ラグビーと真摯(しんし)に向き合いたい気持ちになった。旅の記念に「Rugby is my life」とバックプリントされたTシャツを買った。これからも、そんな人生を歩んでいきたい。
(安村光滋、県ラグビーフットボール協会理事長)