<南風>趣味の読書


社会
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 10月27日は「文字・活字文化の日」で、その日から11月23日までは「秋の読書推進月間」とされている。国立青少年教育振興機構の調査(2018年)では1カ月で紙の本を1冊も読まない人が全体の49・8%に上り、年代に関係なく読書離れの傾向が強くなっているという。今は電子書籍やオーディオブックもあり読む方法も多様になったが、この秋は実際に書店まで足を運べば、意外な一冊との出合いがあるかもしれない。

 私の趣味の第1位は10代の頃から今に至るまで読書である。読書には大別すると楽しむために読む、いわゆる趣味の読書と学問・研究のため学術書などを読む読書がある。

 自分の「趣味の読書」の遍歴を振り返ってみると、年代によって読むジャンルが大きく異なる。小学校高学年の頃は講談本を片っ端から読んだ。中学生の頃は探偵小説にはまっていた。とりわけコナン・ドイルのシャーロック・ホームズに夢中になった。ドイルの小説は長編・短編を含めて三十数冊は読んだ。高1から大学2年生の頃までは雑読・乱読で純文学から時代小説、詩集、偉人伝など数百冊も読んだ。特に高2で初めて読んだ吉川英治の「宮本武蔵」はこれまで全6巻を7度も読了した愛読書である。

 20代は学問・研究に没頭し主に英文の学術書や論文を読み「趣味の読書」からは離れていた。30代で会社を経営するようになってからは、いわゆる経済小説が中心になった。城山三郎の著作は渋沢栄一の生涯を描いた「雄気堂々」をはじめ、ほぼ全作品を読了した。

 還暦を機に俳句を始めてからは、「おくのほそ道」を含む「芭蕉全集」、蕪村、一茶、子規の全句集や著作をはじめ、俳句関連の本が300冊ほど本棚の一つを占拠している。

 秋ともし読書はやはり紙の本 聖紫(私の俳号です)

(澤田清、澤田英語学院会長 国連英検特A級)