<南風>句会は開かれた文芸の座


社会
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 句会とは「俳句を作り、発表して批評し合う集会」と広辞苑にある通りである。

 句会の人数や持ち方はいろいろあると思うが、通常は月1回の開催で参加人数は5、6人から十数人程度である。句会の前には作句のため野外や名所旧跡に出かけていく、いわゆる吟行をすることも多い。芭蕉は即物具象を唱導している。具体的な物に託して心を詠むことである。

 2011年、私は瀬良垣宏明氏の呼びかけに応じて「春耕那覇句会」に妻とともに入会。5人で始まったが、今や12人の会員となっている。13年には筆者が呼びかけ人となり「春耕首里句会」を10人で始めた。両句会とも全国的俳句結社「春耕(蟇目良雨(ひきめりょうう)主宰)」の沖縄支部として活発に活動している。これまでに合同句集を2冊出版している。

 句会では句歴、肩書、人間関係など一切の忖度なく、あくまでも作品を評価し選句する。幹事やベテランの句に一点も入らず初心者の作品が高点句になることもある。

 句会では前もって各自が無記名で提出した3作品が出そろうと、その中から良いと思う作品を自分の作品を除き4句選ぶ。自分の作品は選ばれるだろうか、期待と緊張の中でメンバーの力作に目を通し選句する。

 全員の選句が終わったところで、幹事により各作品の得点と作者名が次々と発表され、座はにぎわう。その後、高点句の作者が作意を述べ、その句を選んだ人は、選んだ理由を述べ、さらに幹事が講評する。

 「自然と人間の生活の中に新しい美を探求する」ことを理念として、和楽の心で、楽しく活発に自己表現をし、他の作品の評を行う。実に民主的な開かれた文芸の座である。この2年、コロナ禍の影響で対面句会の中止が続いていたが、この11月より一同心待ちにしていた句会「文芸の座」が再開した。

(澤田清、澤田英語学院会長 国連英検特A級)