<南風>地域の彩り


社会
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 沖縄の11月から12月初旬は例年気持ちの良い季節であるのに、今年は雨の日が多く、少々悲しい。そんな中、今月最初の日曜日は晴れて、夕方の時間を久しぶりにベランダで過ごせた。時刻は17時半を過ぎ、きれいな夕焼けに目を細めながらもう何千回と唱えた感謝の言葉を繰り返す。「冬でも日の入りが遅い沖縄、ありがとう!」

 そう、年間で最も日の短い季節でも沖縄の日没は17時半過ぎなのである。これは、私のような生まれつき朝が弱い夜型人間には非常にありがたい。転居前に住んでいた札幌だと、日没が一番早い時期は、16時過ぎには太陽は沈んでしまう。

 裁判所の期日が長引き、建物の玄関を出るとすっかり夜になっていた際の物悲しい気持ちを今でも覚えている。もっとも、代わりに日の出時刻は早いので、朝型の人は実に気持ちの良い早朝を迎えることができる場所である。

 日没が遅いことに並び私にとって沖縄がありがたいことが、杉や白樺(しらかば)などの花粉症に悩まされないことである。京都・東京在住時は杉、札幌在住時には白樺に悩まされていたのがうそのようである。植生の違い万歳!である。ただし、年間を通して温度と湿度が高めな沖縄ではクーラー使用期間が長いことが要注意で、腹を冷やしやすい私は「防寒具」不備により何度も失敗している。

 つらつら考えると日本は案外広い国だなと思うし、地域ごとの違いが面白い。全国規模で住む場所が変わることは時に寂しさもあったが、実際に住んで実感できたことはたくさんあり、今となっては良い経験だ。その地で生きるとは、その場所の個性の上に自分の個性を乗っからせてもらい、生かしてもらうものだと思うようになった。沖縄の地に改めて、今年もお世話になりましたと心中であいさつをする年の瀬である。

(林千賀子、弁護士)