<南風>これからの生き方


社会
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 先日、NAHAマラソンに初めて挑戦し、何とか無事に完走できた。マラソン自体、初めてのことだったので非常に不安であったが、経験したことのある友人や職場の仲間のアドバイス、何よりも沿道の人々の応援と差し入れが大きな支えになった。ありきたりな話ではあるが、さまざまな人に支えられて生きていることをたった数時間で体に刻み込ませてくれた貴重な体験となった。

 改めて新しいことに挑戦することの怖さや不安を感じ、それを払拭するためには、準備をするしかないのだが、それでも本番は何が起こるか分からないからこそ達成できた時の喜びは大きい。言葉にすると当たり前で普遍的なことほど経験してみないと真の意味での理解はできない。

 現在40歳で年齢的にも人生の折り返し地点にいるが、自分のこれからの生き方を、ここでまた一つ大きく変える必要があると感じている。年齢や経験値が上がれば、技術も上がり、できることも増えていく一方で、労せずできてしまうことも増え、それなりに毎日をやり過ごしてしまう。

 社会的な立場や責任が増えることで、挑戦することを忘れ、その必要性も薄れてくる。自分にとって意味のある生き方とは何なのか。できないからこそ焦る気持ちや頑張ろうと思える気持ちが人を成長させる。

 新しいことに一歩踏み出し挑戦することは、実際には泥臭く格好が悪く、時にはつらいものだから、どうしても敬遠しがちだ。

 しかし、その過程で少しずつでも成長や発見を感じられれば、その喜びが後押ししてくれる。失敗を恐れているのではなく、その過程に身を置く勇気があるかどうか。私もいつも怯(ひる)みながら、時にはその選択に後悔し、それでも少しでも喜びや達成感を得られるなら新しいことに挑戦し続けていきたい。
(周本剛大、琉球動物医療センター院長 沖縄VMAT隊長)