<南風>食と暦


社会
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 今回から南風で執筆することになり、何を書こうと考えたが、やはり仕事である食に特化したことを幅広い分野で、私らしくつづっていきたいと思う。今回は年初めの掲載ということもあり、食に関する暦について改めて考えてみた。

 毎年、新年の始まりには手帳を新調する。手帳選びのポイントに、旧暦の表記がある。沖縄では旧暦に関する行事や食文化が多く、予定を立てる際にも確認し合うことも少なくない。

 例えばイベントの日程を決定する際に土日であっても、旧正月や旧盆の日程は避けた方がいいなど。旧暦の行事は把握しておいた方がいい。また語呂合わせや歴史的に大切な日である食の記念日も多い。

 昨年も「今日は〇〇の日」といった記念日の企画を数多く実施した。1月22日はカレーの日、毎月14日はじゅーしーの日、10月17日は沖縄そばの日、11月1日は泡盛の日など。そして沖縄には暦に欠かせない独自の行事食が数多くある。行事食にはさまざまな願いや思いが込められている。

 正月には新たな1年の繁栄を祝う中味汁、旧暦8月15日の十五夜には農作物の実りを感謝するフチャギ、旧暦12月8日のムーチ―での厄払い、冬至にはトゥンジージューシーで健康祈願。行事食を通して、家族や先祖、時には神様に気持ちを届けるとともに暦を学べるすてきな文化だと思う。

 そもそも暦とは、太陽の運行や月の満ち欠けを知り、移り変わる季節に合わせて食料を生産するため、先人が生み出した知恵であり、食と暦は欠かせない関係だった。

 日単位でスケジュールに追われる現代と比べて、天体や季節を意識した暦の中で暮らしていた古来に憧れさえ感じる。手帳やカレンダーの中だけでなく、食を通して暦の流れを感じ、そんな時間や行事を大切にしていきたいと思う。
(下地友香、ちゅらグルメ編集長)