<南風>普通とはなんだろう


社会
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 多数の人は、異性を好きになる。それは、自然に好きになるのだろうか? それとも、固定概念であろうか。今となっては不思議だ。

 私は、男性、女性どちらも好きになる。それに気づいたのは20歳の頃だ。同性(女性)を好きになったのだ。誰にも言えずに付き合っていることを隠し続けていた。

 いまだに結婚をしているか聞かれることが多い。そもそも、日本では同性と結婚できない。タイミングを見極め、カミングアウトしている。先日も、本気の紹介(男性)をされかけたが、結婚する気はないとごまかして逃げ道をつくった。

 25、26歳の頃、同性と付き合っているとカミングアウトした。伝えるまでも、かなりの谷があった。

 最初に伝えたのは家族だった。私の両親は離婚している。まずは母に伝えようと勇気を振り絞ったが、数時間がたっても、なかなか話せず、断念して日を改めた。結局、父から先に伝えることになったのだが、泣いて喜んでくれた。よく言わずに抱え込んだなと数年の苦労を理解してくれた。

 後日、母へ思い切って伝えた。母は苦い反応をした。楽観的思考の父とは違い、さまざまな思考を働かせ、普通でないカタチに戸惑っていた。「あんたたちの壁は思っている以上に高いよ。大変よ」と現実を改めて伝えてくれた。

 変な空気に一瞬なったのだが、母はカミングアウトが初めての経験でどんな言葉をかけるのが正しいのか分からないと、戸惑いながら「おめでとうっていうのかな?」と祝福してくれた。

 同性を好きになっただけでたくさんの試練や、壁がいまだ立ちはだかる。男女で分けずとも、素敵な方がたくさんいる。分類(男女)分けせず、私はその人を好きになるのだ。

 私以外にも、いろんな愛(想(アイ))のカタチがそこら中にあふれている。
(比嘉利加、フリーランス)