<南風>「保育士」の「対価」


社会
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 なんだか「保育士の給料が低い問題」に触れそうですが、そうではなく。「対価=財産上の報酬」ではない、「価値」に対する「さまざまな形の報酬」と捉えていただければと。

 保育園は民間企業のように売上を作れなくて、主に国からの補助金で成り立っているのね。(要は税金ね)。そこで給与を上げることよりも、視点を変えてさ。これまで保育者として磨いてきたスキルの価値に気付いて、そこに対価を発生させようよ。というお話。

 と言うのも、保育士の先生方、毎月毎年さまざまな研修を受けていますよね? 従来のピアノ・リトミック・体操に加え、処遇改善の対象となる乳児保育・幼児教育・マネジメント…。それらはもちろんですが、直接保育に結び付かなくとも、個人的に学んだ知識や経験はありませんか?

 例えば、ご自身や家族の個性を知り、人間関係の構築などに役立てるために学んだ「気質学」。色彩心理学に基づき心の変化を色で可視化した「カラーキュービック」など。個人的に培った資格やスキルって実は持っていませんか? あ、海外留学などの経験もね。

 専門職である保育士としての能力と培った知識や経験を“掛け合わせる”ことが大事ってこと。つまりこれまでの保育士に付加価値を生むってこと。「保育士×○○=付加価値」みたいなイメージかな。

 その「価値」には「値=対価」が付くんですね。

 保育園内で、付加価値を付けた行事を行って得る対価。保育園以外で、保護者支援の場や形を作って得る対価。

 どちらにせよ、この対価(収入・経験・環境などさまざまな形で得られる報酬)という捉え方は、保育士一人一人の価値を見いだして、その可能性と活躍の場を広げられると思いませんか?

(玉城伸悟、tetote代表 主任保育士)