<南風>どこまでうそついたっけ?


社会
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 同性(女性)とお付き合いしているなんて誰にも言えなかった。社会人になると「どんな仕事か」「彼氏はいるか」との言葉を交わす機会が増える。20歳の頃、同性を好きになり、お付き合いすることができた。

 好きな人と一緒になれる喜びを分かち合えず、けんかをしてぶつかった時も、悩みを誰かに相談することができなかった。それよりも、つきたくないうそを並べて話すのが苦痛だ。同性とお付き合いするだけでさまざまな問題に直面する。恋愛の話と住まいを聞かれるのは困るワードだった。

 同性を好きになったことをカミングアウトできずにいた期間が約5年あった。彼氏いないと言うと、ほしくないの? という流れになる。戸惑う間もなくとっさのうそを並べる。うそから生まれる次の試練は山積みだ。合コンや、独身の方を紹介してくれる方をどう回避するかだ。その中で自分との葛藤も多くあった。

 やっぱり同性愛が許されるわけないよなぁ…と、今の現実を受け入れパートナーのためにも別れた方がいいと思うことも。異性とお付き合いしていた頃の悩みとは違うプラスアルファーの悩みがある。「いつかは離れなければ」。そう互いに思いながらも、好きという感情を抑えられず、見えない未来の不安と愛情が入り交じって想(おも)いがどんどんあふれていく。

 うそをついていると、どこまで答えたか分からなくなる。付き合っている人がたくさんいると冗談を交わしてみたり、彼氏ほしいと共感してみたり。偽の自分を演じることが当たり前になり、まひ状態になる。

 カミングアウトする時は、受け入れてもらえるのか、どういう反応をされるのか、とても怖かった。カミングアウトしていくうちに、今までついていたうその重荷がなくなり、カミングアウトすることで私はめちゃくちゃ楽になった。
(比嘉利加、フリーランス)