<南風>保育園のICT導入の本質


社会
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 「ICTを使うと業務量が減るんですか?」。なんてお声を度々、保育士の先生や園長先生からいただくんですね。正直…何とも回答しづらいところでして。

 結論を言うと「業務の簡素化・効率化は可能です。けど、そちらの園に必要かどうかは分かりません」です。と言うのも「ICT」いわゆる情報通信技術は、保育業務全体の事務作業を大幅に効率化・作業時間の短縮につなげることができるシステムです。

 何十年も前から、連絡帳や児童票・遠足の連絡、シフトの修正、月末の出席簿の集計…キリがないほど日々の書類を手書きや印刷してきた保育業界にとっては、まさに救いの一手。とはいえ、ICTを導入して業務の簡素化が達成された時、その先にあるものは何でしょうか。いま一度立ち返って考えてほしいな。

 例えば、1クラスの連絡帳を20人分手書きした時と、ICTを導入した時を比べてみよっか。1人当たり5分かかっていた手書きは合計100分(1時間40分)。それに比べICTを導入しタブレットやスマートフォンの画面で入力すると修正や画像添付が簡素化されるので1人当たり3分とするね。すると合計で60分(1時間)で仕上がり、前者に比べて、1日40分の時間が生まれますよね。1週間(5日勤務)では、200分間(3時間20分)。毎週この時間が生まれることになるんだよね。

 さあ、効率化で生まれたこの時間を何に活用しますか? 製作の準備? 新たな研修? 大掃除? いやいや目の前にいる“子どもたちと接する時間”にしなきゃ。これこそが見失いがちだけど、本来ICTを導入するための最大の目的だよね。そして、目的を考えた時に改めて自園の業務を見つめ直すんじゃないかな? もしかすると、ICT導入の本質ってこういうことかもね。
(玉城伸悟、主任保育士 tetote代表)