<南風>いろんな想(アイ)のカタチ


社会
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 あなたの思う家族とは―。私は長女だ。動物好きの三つ離れた妹と、イラストデザインを委託し共に働く10歳離れた妹の3姉妹だ。次女、三女の間に弟が3人いるはずだったが、早産らしい、息を引きとった。ユタに聞くと、先祖に何かあったのか、男の子が生まれないと言う。悪いことをしたのか…。不思議だ。弟を妊娠中の母は手術や入院が多かった。

 私が二十歳の時に両親は離婚し、それぞれ新しい人生を楽しんでいる。父は小柄で好きなことにとことん没頭する楽観的自由人。母は社交的な明るい性格。同じ家族のカタチはない。身近には母2人で子育てをしている人が何組もいる。片方がバツイチ子持ちで母2人子1人の方もいれば、同性婦婦(どうせいふうふ)で妊活して精子提供で子どもを授かり子育てしている方。夫夫で養子縁組して家族になった方…。異性愛以外にもいろんな家族が存在する。

 四つの性(LGBTなど)があることの理解が浸透しておらず、批判や偏見の声を多く耳にする。それはそれでいい。人にはそれぞれ価値観や考えがある。こんな人もいるんだと知ってもらい、さまざまな生き方をしている人がいることがもっと広まれば、輝いた未来になるに違いない。

 岸田文雄首相ら政治家の発言で多様な家族を一部否定されたように感じたが、日本が同性婚を認める認めないに関係なく、既に事実婚カップル、「ふうふ」として生活している人がいる。それが身近にいることに気づかず、この問題から逃げ、目をそらし続ける日本の政治は、うんざりだ。

 戦争の危機にも追いやられているが平和は武器をそろえてつくるものではない。人との対話から平和な世の中をつくることができるはずだ。まずは問題から目をそらさず、当事者と話し、憲法にもある一人一人の人権を尊重してほしい。
(比嘉利加、フリーランス)