<南風>「育休」を生かす


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 先日、無事第2子を出産した弊社社員Mさんを訪ねました。玉のような赤ちゃんの純粋無垢な表情は見ているだけで癒やされます。しばらくは育児に専念し、お子さんが1歳になる頃、職場復帰し、またその力を発揮してもらう予定です。

 出生率全国1位で、子育てしやすいイメージのある沖縄県。しかし、県内の2537事業所が回答した県の労働環境実態調査で、育児休業制度を就業規則等に採用していない事業所が半数近い48・6%もあるそうです。
 私は27歳で結婚し、32歳で第1子を授かりました。ちょうど仕事を始めて10年目、課長という立場でした。念願の子を授かって嬉(うれ)しい半面、仕事との両立ができるのかと不安でしたが子が1歳になるまで育児休暇取得。そして36歳で第2子、39歳で第3子と続き、役職も執行役員営業部長、取締役営業部長と責任が重くなっていく中、さすがに第3子妊娠は言い出しにくかったことを覚えています。しかし、会社の上司、同僚の理解やフォローのおかげで会社に対する貢献意識も高まり、「復帰してからも会社に恩返しがしたい、役割を果たしたい」という気持ちが芽生え、現在に至っています。
 有り難い育児休業制度ですが、女性社員を多く抱えるある大手化粧品会社では、手厚い制度が「当たり前」になってしまい、独身者など一部の人に負担が集中し職場に不協和音もでている、という話も聞こえてきます。
 制度の恩恵に浴する方も、フォローしてくれる方々に感謝の気持ちを忘れず、たくさんの手を借りたり時には貸したりしながら、仕事と家庭、自分自身のキャリアを育んでいく意識が大切だと思います。そして未整備の事業所でもぜひ制度を導入し、多くの女性の力を引き出してほしいと思います。
(名嘉村裕子、りゅうせきビジネスサービス代表取締役社長)