<南風>「くすり教育」


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 専門用語は、普段使っていても、本当の意味を正確に理解していないことがありますよね。例えば「頓服(とんぷく)」はどうでしょう。薬包紙で包んでいる粉薬でしょ。座薬のことじゃないの。解熱剤(熱冷まし)のことだね。いやいや、鎮痛剤(痛み止め)だよ―。正しくは、服用する時間が決められたものではなく、症状が出て必要なときに使用する飲み薬のことです。

 具体的には頭痛時・発熱時・便秘時・疼痛(とうつう)時(とても痛い時)・不眠時・不安時などがあります。1日3回まで、次の使用まで6時間以上あけて、38・5度以上の高熱時など指示が入ることもあります。そうだったのか!とスッキリした方は、知る機会が今まで無かっただけで、恥ずかしいことではありません。
 中学校では2012(平成24)年度から、医薬品の正しい使い方の学習が加わりました。高校でも翌年度から内容を深くして実施されています。「くすり教育」は人々の健康意識の向上を背景に2000年、世界保健機関(WHO)がセルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当する」と定義したことから始まりました。つまり、自分で自分の健康状態を判断し、必要に応じて医薬品を選択する必要があるのです。そのためには正しい知識が必要です。この役割を担うため、保健体育教諭や養護教諭が行う授業に薬の専門家である学校薬剤師が関わっています。
 次の改訂では小学校にも「くすり教育」が入る可能性があります。小中高一貫となることで、健康の保持増進や疾病の予防について、より理解が深まり、自分の健康を適切に管理できようになるでしょう。
 薬剤師会では一般・高齢者向けにも「くすり教育」を行っています。どうぞご希望があれば、ご依頼ください。
(吉田洋史、沖縄県薬剤師会理事)