<南風>「ふたつよいこと…」


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 人間の長い一生のうちの幸運と不幸の割合について考えたことはあるでしょうか。人生五分五分などと言いますが、スイスの数学者レオンハルト・オイラーによると、幸運の確率のほうが若干高く63%なのだそうです。そう、人生生まれたもの勝ち!世の中うまくいく確率のほうが高いのだそうです。しかも自分は運がいいと思えば思うほど、その確率はどんどん高まるのだとか。

 実はこの話、何年か前に番組で紹介したものですが、その時、一緒に紹介した「ふたつよいことさてないものよ」という言葉と併せて大きな反響がありました。「こころの処方箋」(新潮文庫)という本からの引用で、著者は臨床心理学者の故・河合隼雄さん。この法則、何か良いことがあると、それとバランスする「わるい」ことがあるだろうし、嫌なことがあっても、よく考えてみると、それに見合った「よいこと」が存在していることがある―という考え方です。そういったバランス感覚をもっていると、いいことがあっても、悪いことがあっても、それを受け入れる覚悟ができ、己にふりかかる難を軽くすることができるような気がします。
 いいことがあっても浮かれないように自制するきっかけになりますし、嫌なことがあったときは、「世の中うまくできているな」と、いらぬ不満や怒りをセーブすることができると思いませんか。しかも「さてないものよ」と言っているのがまたいいのです。そう「ふたつよいことは絶対にない」と言ってはいないのですから、いいことが二つ重なることもあるのです。だから幸運の確率は60%を超えるわけです。
 いいことがあっても悪いことがあっても、取りあえず「ふたつよいことさてないものよ」とつぶやいてみませんか。幸運の確率が少し上がりますよ。
(大城勝太、エフエム沖縄アナウンサー)