<南風>カップ麺を食べてみよう

 Ohanaの事業所で、ユニークな活動がある。
「カップ麺を食べよう!」である。障がいのある子供たちにとって、安全面や栄養面から、この機会は少ない。しかし、災害が起こった場合や保護者亡き後、または単身生活など卒業後を考えると「生きるために」必要なことではないだろうか。そう考え、子供たちとミーティングをし「作ってみたい」の要望もあり、話が進んだ。

 メニューは、お湯の分量が少ない+電気ポット=「焼きそば」に決まった。事前学習では、買い出しの店内でのマナーや自分たちの目標を立てた。「作れない人は、俺が作るよ」と仲間を気遣う言葉も飛び出した。
 当日は朝からカップ麺の話題で子供同士のおしゃべりに花が咲き、小さなグループに分かれ、小競り合いも始まった。それでも「さあー、準備しよう」のひと言でピタッとやんだ。買い物先の店内では、遠足気分。カラフルなパッケージにテンションが上がり、仲間と相談しながら商品を探す。手に取りながら、「これわかる。テレビに出ていた」「これは、おいしくないよ。これがいいよ」と、教え合う姿がある。
 中には同じ物を取ってほしくないと、別の商品を無理やり手渡そうとするしぐさもあった。そんな時、職員は様子を見ながら、「自分のものは、自分で選ぶ」よう、子供たちに声を掛ける。「選択」する意味を知ってもらうために。
 調理の本番では、「蓋がない」とパニックになる子や、やけどの説明でポットに恐怖を持つ子、加薬を先に入れる子など、指導する職員よりも動作が速い。仕上がりへ向かって猛ダッシュだ。まるで工作教室のような状態で“完成”にたどり着く。ようやく「いただきます」の声が上がると、皆、どや顔の料理評論家になっていた。
(名幸啓子、障害児サポートハウスohana代表理事)