<南風>ご縁を大切に


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 十数年前のこと。関東沖縄経営者協会の会長などを歴任した重田辰弥氏(現名誉会長)に出会い、「40歳を過ぎたら故郷に貢献しろ」と言われました。貢献するための方法を尋ねると、「関東沖縄経営者協会に入会すればいいのだ」と諭されました。当時私は東京で長年勤めた会社を退職し、家業を継ぐ準備と新規事業参入のための新会社設立に明け暮れ、故郷のことをほとんど忘れていました。

 そのような私が同協会に入会して心掛けたのは、自分のメリットを求めるのでなく、自分が同協会のために何が出来るかを考えること。それが故郷への貢献に繋(つな)がるのではないかとの考えからです。先日、都内を走る山手線の吊り広告に「オリンピックが何をしてくれるか、ではなく、オリンピックに何ができるか、だ」とあるのを目にした時には、とても共感しました。
 現在、私は同協会の会長を務めていますが、全ては重田氏との出会いとご縁を大切にしたからだと思います。また東京沖縄県人会では、渡久山長輝前会長(現名誉会長)との出会いがあり、渡久山氏の県人会改革に情熱を燃やす姿に共鳴した思い出があります。
 さて、江戸時代に徳川家の剣術指南役だった柳生家の家訓に、「小才は、縁に出会って縁に気づかず。中才は縁に気づいて縁を活かさず。大才は、袖振り合う縁をも活かす」とあります。人との出会いで人生が変わります。人間は一人の力で生きているのではなく、さまざまな出会いと縁によって生かされ生きています。「出会い」を「縁」にして活かし、いかに多くの人の役に立つかが重要です。縁を活かし感謝しながら生きることが、豊かで充実した人生を送るポイントだと思います。
 7月から本欄にご縁をいただきました。読者・関係者の皆さまに御礼を申し上げ、ご挨拶と致します。
(仲松健雄、東京沖縄県人会会長)