<南風>沖縄に浸透するジェネリック


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 新薬(先発医薬品)を発売するには、10年以上の歳月と数百億円以上の研究開発費がかかるため、薬の値段は高いものとなります。また新薬を独占的に販売できる特許期間(20~25年)が終了すると、有効成分や製法などをまねて作ることが可能になります。

ジェネリックメーカーが短い開発期間と少額の投資で安価に製造できるようになるのです。そして薬として同じ効果があるか確認し、厚生労働大臣の承認を得て、値段の安いジェネリック医薬品として世に出るのです。
 ふた昔ほど前は、特許権が消滅するとジェネリック医薬品が各社からゾロゾロ出てくることから、業界では「ゾロ薬」と、粗悪品の意味で呼ばれることもありました。ところが昨今のジェネリックメーカーの工場は最新設備と厳格な品質管理をし、一流メーカーからOEM生産を受けていることも珍しくありません。
 さらに他のメーカーとの差別化を図るため、さまざまな工夫がされているものもあります。例えば、錠剤やカプセルなどを包んだアルミなどのPTPシートに「糖尿病薬」と説明を付けている、錠剤の色を変え大きさを一回り小さくしている、ラムネやフィルム状にして口の中ですぐに溶けるようにしている、苦味を包み込んだり、香りや味をつけたり―など、より飲みやすく、より扱いやすく考えられています。薬が苦手な方は遠慮無く薬剤師に相談してみましょう。
 今年5月の調査によると、数量ベースでのジェネリック医薬品の使用割合は全国平均58・8%。これに対して沖縄県は72・3%で、2位の鹿児島県67・6%を4ポイント以上も引き離し、ダントツの1位独走状態を維持しています。なぜ沖縄県のジェネリック医薬品の使用割合がここまで高いのかは諸説ありますが、県民に浸透していることは間違いないようです。
(吉田洋史、沖縄県薬剤師会理事)