<南風>身近に潜む薬物と依存症


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 「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などを使用後、暴走運転による死傷事故が全国で相次いだことを受け、昨年から「危険ドラッグ」と呼ばれるようになりました。県と県警による危険ドラッグ販売店への立ち入り検査などにより、沖縄では昨年末に販売店舗はなくなりました。しかし、SNSなどネットを通しての販売は全国で行われています。昨年、那覇市のマンションが危険ドラッグ密造工場として家宅捜索され、4人が逮捕されました。ここから全国に発送していたようです。

 先月、京都市では小学6年生が大麻を吸ったとの衝撃的な報道があり、府立高校生の兄が逮捕されました。沖縄では過去に中学時代から大麻を栽培していたとして17歳の少年が逮捕された事件もあります。他にも大規模なハウス栽培の件や、大量の覚せい剤が押収された件などがあり、それらを氷山の一角と考えると、事態は深刻です。大人から若者、学生へと低年齢化していることは、薬物がとても身近に存在している証しでもあり、強い危機感を覚えます。子どもや若者はまだ完全に脳や体が成長していません。危険ドラッグの影響は大人以上です。
 薬物の怖さは一度では済まず、繰り返し手を出してしまうことです。最悪の場合、一度の使用で中毒死に至ることもあります。たばこやアルコール、医療用医薬品、一般用医薬品でも依存症になる人がいます。決められた量以上を使っていませんか。やめられなくなっていませんか。
 有名芸能人の薬物依存症による逮捕の報道は後を絶ちません。彼らはそのために周りに迷惑を掛け、家族や友達を失っています。年末年始、皆で集まる機会に、危険ドラッグ、たばこ、アルコール、医薬品の使い方などについて話し合う時間を設けてみませんか。大切な家族や友人を守るために。
(吉田洋史、沖縄県薬剤師会理事)