<南風>仕事の幸福度日本一に


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 2015年の沖縄経済は観光客数が過去最高と、観光業が牽引(けんいん)して活況を呈しています。その影響か県内の有効求人倍率は復帰後の最高値を更新し続け、この11月は0・91倍に。そのため「求人広告を出しても応募がない」と、人材確保に苦労する企業経営者の声をうかがう機会が多い1年でした。

 つまり、求職者は仕事を探しやすく、企業は採用しづらい状況です。産休や育休制度はもちろんのこと、企業内託児所の設置や在宅勤務も一部認めるなど、「働きやすさ」を充実させる県内企業も増えてきました。
 しかし、人手不足に伴い企業側の採用基準も緩和されるのかと思いきや、企業側は譲れない採用基準を保持しているようです。「この人の強みは何か。わが社の事業目的や理念にどれだけ共感してどんな役割が果たせる人か」「ある事柄に対して自分なりの考えがあるか、それをしっかり相手に伝えることができるか」など、採用者は面接時の受け答えから、自社にとって必要な人材になり得るのかを見極めます。採用は経営側にとって常に社運をかけた真剣勝負なのです。
 一方で求職者側はと言えば、沖縄では「地元愛」が日本一。県内で仕事を得て、家族を持ちたいと考える人が多く、「キャリアを積みたい」「仕事で自己実現したい」という志向よりも、職種や勤務場所など条件重視の傾向が強い方が多い気がします。
 経済環境も好転している今、「働きやすさ」や職種の追求に加え、「働きがい」や「生きがい」を感じるような仕事がこの沖縄でできれば、沖縄経済全体に貢献することにもつながり、幸福度も日本一になるのでは、と思います。
 このコラムも最後となりました。読んでくださった皆さんに心から感謝申し上げます。
(名嘉村裕子、りゅうせきビジネスサービス代表取締役社長)