<南風>誰にもまねできない


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 前回、母親について書かせて頂(いただ)きましたが、あまり家族をネタにするのは良くないかなと、母親に相談したところ「何でも正直に書きなさい。隠し事は良くないよ。泥棒したなら、泥棒したと言いなさい」と、ダイナミックなアドバイスを貰(もら)いました。自分の母親ながら、さすがだと思いました。

 うちの母親は昔から少し変わっていて、大概、僕の想像を上回る行動をします。以前、ある番組に出させて頂いた時、番組側が母親に「内間君の思い出のある料理を作って、内間君を感動させましょう」と伝えたところ、作った物は何と、僕が一度も食べたことのないフィリピン料理。また、さんまさんのバラエティー番組に親子で出させて頂いた時のこと。さんまさんが母親に「息子が芸人で心配でしょう」と振ると、母親は「心配です。芸能界は、浮き沈みが無いんで」。スタジオ内は一瞬あ然、その後に大爆笑。そしてその時の番組で一番ウケたことに贈られる「賞」はその発言でした。
 このように結果を残している母親ですが、本人的には本望ではありません。結果を残すどころか、ふがいないと思っています。いわゆる優等生が好きなんです。学歴にコンプレックスを持っているのです。だからこそ僕の幸せのために、高学歴を求めていたのですね。でもどうでしょう。高学歴は良いかもしれませんが、「絶対」ではないと思います。それぞれの環境があって、その人のキャラクターが生まれるのだと思います。だから、その人が唯一無二の存在になるのです。ただ、学歴を求めたい方は、求めて下さい。それが、あなたなのだから。
 母親にはこう言いたいです。あなたはあなたでいいんです。あなたの人生の歩みの中で素晴らしいあなたが生まれたんです。誰にもまねできないあなたが。
(内間政成、芸人・スリムクラブ)