<南風>挑み続ける


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 現在はフリーランスで仕事をしており、いくつかをかけもっている。そのひとつが、沖縄写真デザイン工芸学校の非常勤講師の仕事だ。若輩者の自分が人に教えるなんておこがましいが、そんな自分も、今年で4度目の年男を迎える。次の世代へのつなぎ手になってもおかしくない年齢になってきた。

 もちろん今も現役のカメラマンだが、3年前にカルチャースクールで写真講師としての活動もスタートした。当初お話をいただいたときは「人さまに教えるなんてとんでもない」と、せっかくの機会に自分自身でブレーキをかけようとしていた。
 新しいことに挑むのに、失敗したらどうしようと立ち止まる人も多いと思う。万一失敗したら軌道修正したらいいじゃないか。
 失敗が許されない現場はあるし、責任と向かい合う覚悟も必要だろう。失敗を恐れるあまり、心の安全装置であるブレーキボタンを自ら押す。それがどれだけ可能性を殺しているのだろうか。そう自問自答し、挑み続ける道を選ぶようにしている。
 世の中には、挑戦することを恐れない人たちもたくさんいる。特に若者たち。沖縄写真デザイン工芸学校の生徒たちもそうだ。課題に対して、あえて難儀な方を選んでみたり。しかし、失敗するからこそ、面白い発見や学びがある。彼らが自らの可能性に挑む姿勢には、こちらが教えられることがる。可能性とは、あきらめないこと。あきらめたときが終わりだ。挑むことをやめたら成長はない。
 日常の中で、仕事や政治のことなどの問題に直面することがある。「どうせ何も変わらない」とか「無理だ」とか、すぐにあきらめてしまうのは、ひょっとしたら大人たちの方かもしれない。できれば、若者の手本となる大人でありたいと思っている。
(桑村ヒロシ、写真家)