<南風>素直な部下力


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 「リーダーシップを発揮してほしい」「部下を育ててほしい」「組織を活性化してほしい」などなど、上司に対する注文はたくさんあります。部下の能力を向上させるのも低下させるのも上司次第ということです。

 部下が評価する上司像や期待する上司像など、上司研究は多角的に行われ、上司はいつも前向きな努力が要求されます。後ろ向きは許されません。「成果を出す管理者の役割」「上司力アップ」といったセミナーは参加者がいつも満杯で、上司が学ぶべきことは多く幅広いのです。
 こんなに期待される上司自身の日々のモチベーションは、どのように創造されるのでしょうか。多くの企業を訪問すると、仕事を楽しみ、いきいきとした職場をつくっている上司は部下の自慢話をしています。どうも部下がキーポイントのようです。
 ではどんな部下が上司の意欲を引き出しているのでしょうか。観察の結果、第一に上司の指示に嫌な顔をしない部下です。チーム全体が明るくなり、気持ちよく仕事ができます。映画監督の山田洋二さんが、「いい役者は、周囲を信頼して、自己の考えにこだわらず全てを任せてくれます」と語っています。上司の安心は、部下の影響力が大きいと言えます。
 次に、少しの変化にも反応して正直に言葉で伝える部下です。私がサラリーマン時代のこと。立派な白髪の上司が突然艶(つや)やかな黒髪に変身して出勤。驚くと同時に言葉が見つからず、つい声をかけそびれ、沈黙していました。すると気まずい雰囲気に。後日、本人から「君たちはどうして何も言ってくれなかったんだ。反応してくれたら恥ずかしくなかったのに」とお叱りを受けました。思いやりがなかったと反省したものです。
 上司のやる気を引き出すのは「素直な部下力」です。
(青山喜佐子、オフィスあるふぁ代表)