<南風>地域という「大家族」


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 楽しそうな子どもたちの声が響く、沖縄市の一角にある「ももやま子ども食堂」。さまざまな家庭の事情で独りでご飯を食べる子どもに食事を提供し、地域の輪を広げていこうと設立された。

 ある日のメニューは、新鮮な野菜をたっぷり使ったサラダとカレー。野菜は、子ども食堂の取り組みを知った農家や、市場が提供してくれた。子どもたちには食への関心を高めてほしいから、料理のお手伝いもしてもらう。そして出来上がったカレーをみんなで一緒にいただく。
 「Mちゃん、カレーおいしいねぇ」と聞くと「うん、とってもおいしいー」。「カレーの中で何が一番好き」に、Mちゃんは「ジャガイモが大好きー」。一緒に食べているKちゃんも「にんじんが大好き」。Nちゃんも負けずに「ぜーんぶ、大好き」「おかわり10回してもいいの」。子どもたちのにぎやかな会話に、食堂全体が大きな笑い声に包まれる。そんな楽しいひと時が、子どもの成長には大切だと感じている。
 親が仕事から帰ってくる間、寂しく独りぼっちで過ごす子ども、「孤食」の子ども。テレビやゲームに夢中になり、気がつくと食事もしないまま眠ってしまう。子ども食堂は、そんな「孤立した」子どもたちが過ごす場所だ。地域の婦人会やボランティアで運営し、食材は寄付で賄う。場所も提供していただき、感謝に堪えない。
 お迎えに来ていたお母さん。「私たち夫婦は土日も仕事なので、一日でもこういう場所があると助かります。子どもたちは子ども同士で仲良くなって、親同士もそこで顔見知りになり交流ができて子育ての会話も広がると思います」と話していた。同じご飯を食べて繋(つな)がる、地域という「大家族」。ももやま子ども食堂は、そんな大切な場所になっている。
(比嘉道子、NPO法人ももやま子ども食堂理事長)