<南風>星を尋ねて8千里


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 私が宇宙に興味を持つようになったきっかけは、映画「スター・ウォーズ」。とは言っても、もともと文系人間で、小説ばかり読んでいた小学校時代は、自分がまさか科学者になるとは夢にも思っていませんでした。アナウンサーになろうと、一時期はアクターズスクールに通っていたくらいです。

 そんな私が中学生になり、当時の物理の先生の勧めもあって読み出したのが科学雑誌ニュートン。読むというよりは綺麗(きれい)な天体画像やイラストを眺めていた、という方が正しいですが…。ある日そのニュートンで、アメリカ航空宇宙局NASA主催の「スペースキャンプ」の広告が目に留まりました。青少年向けの体験学習で、宇宙飛行士の基礎訓練を受けるプログラムです。無理を承知で両親に行きたいと懇願したところ、あっさり「いいよ」と言われ、参加することに。
 初めての海外。英語での集団生活。宇宙飛行士のシミュレーション訓練。何もかもが新鮮で、毎日が感動の連続で、毎朝寮で流れていた音楽は今でも覚えているくらいです。それにしても当時の自分の大胆さ、いや無謀さにも驚きですが、私の願いを快く受け止めてくれた両親の度量の大きさにも感服です。
 天文学者になろうと沖縄を飛び出してからは、仙台、ハワイ、フランス、カリフォルニア、シカゴ…。気づいたら人生の3分の1は海外で暮らしています。今まで住んできた街と街の総距離を単純に測ると約8千里、3万1千キロになります。
 「自分で自分の可能性にふたをしないで。挑戦してみようよ」。講演などでよく皆さんに伝えているメッセージです。私自身、一生涯さまざまなことに挑戦し続けていきたいと思っています。当面の目標はスキューバダイビングのライセンス取得です。皆さんは何に挑戦しますか。
(嘉数悠子、国立天文台ハワイ観測所アウトリーチ・スペシャリスト)